ウェブ運用・制作

記事一覧

Flashが使えない時代へ!Flashがサポート終了する背景とは?

このエントリーをはてなブックマークに追加
Flashが使えない時代へ!Flashがサポート終了する背景とは?

インターネットはこの二十数年の間、大きな構造は変わらないものの、どんどん在り方が変わってきました。
 
インターネットが普及したての頃は、PCを普段から使用する人しかほぼ触れないものといっても過言ではありませんでしたが、今では誰もがスマートフォンやタブレット、Wi-Fiを当たり前に使いこなし、インターネットはなくてはならないライフラインとなりました。
 
私にとってインターネットは、小さい頃から親しんで触れていたもので、思い出深いコンテンツや変化を感じる部分がたくさんあります。
 
その中で、個人的に特に変わったな、と感じるのは「Flash」。
 
かつてWebページや広告のアニメーションや、ブラウザゲームに使われ、Flash playerのアップデートが頻繁で鬱陶しいと思わされることも多かったことでしょう。
 
そんなFlashの開発・提供・サポートが2020年末に終了することをアドビが発表し、時代が一つ終わろうとしています。(もうほとんど終わっているとも言えるのですが)
 
そもそもFlashとは一体どういうものだったか、Flashで何が変わったか、そしてなくなると一体どうなるのかについておさらいしましょう。

1. Flashとはそもそもどういうもの?

色々なWebサイトを見ていると、今でもFlashを使用しているページに出会うことは少なくありません。
右クリックしたり、ブラウザの設定で無効化したりすることで、Flashを使用しているかどうか、簡単に見分けることもができます。
 
しかし、そもそもFlashって一体どんなものなのでしょうか?

Flashはアドビシステムズが開発した規格

正式名称はAdobe Flashと言い、Photoshop等と同じくコンピューター・ソフトウェア会社アドビシステムズが開発した、動画やゲームなどを扱うための規格です。
この規格、フォーマットで作成されたものをまとめて「Flash」と呼ばれています。
 
元々、開発したのはマクロメディアという会社で、Macromedia Flash(マクロメディア フラッシュ)と言いましたが、アドビシステムズ社に買収されました。
 
座標を用いて描画される、ベクターイメージ(伸び縮みしても劣化しない画像)が中心で、それをスプリクトという簡易的なプログラムで制御することにより動作します。
 
マウスの動きに合わせたアニメーションや、音を鳴らすことが出来るため、webサイトやゲーム、音楽再生などのコンテンツに向いています。
 
再生するためには、主に無料でダウンロードできるFlashPlayerが使われ、これはWindowsやmacOS、Linuxなどの主要なOSで動作します。
 
FlashPlayer
開発同社のFlashを作成するためのソフトウェアも「Adobe Flash」の名称で呼ばれていましたが、2015年に最新版の開発は終了し、2016年に「Adobe Animate」に名称を変更しています。
 
FlashPlayerについては今でも開発・最新版の提供が行われていますが、これも2020年末にAdobeが開発と配布を終了することを発表しています。

Flashが変えたこと・役に立ったこと

GIFアニメ

Flashは2000年代初頭において、大いに役割を果たしたツールです。
 
まだまだFlashが一般的ではなかった時代、webサイトに動きを与えてくれるツールといえば「GIFアニメ」や「Javaアプレット」しかありませんでした。
 
GIFアニメ(上記のアニメーション)は色数も256色に限定され、一コマ一コマ描く必要があるいわゆる「パラパラ漫画」のシンプルなもの。
 
Javaアプレットはゲームやアニメーションを作成するのに大変優れていましたが、少々高度なプログラムで、最初から作るとなると難しいものでした。

ActionScriptを使用した自由な開発・加工

ActionScriptというプログラミング言語を使用できるFlashが一般的に普及すると、Web上のあらゆるものがFlashに置き換わり、インターネット上の表現を豊かにしていきました。
 
ファイルフォーマット仕様が一般的に公開されているため、アドビ以外の企業や個人でもFlashデータの加工・開発・配布が自由になり、誰でも動画またはインタラクティブコンテンツの作成が容易になったためです。
 
そのため、企業や公的機関、アーティストや個人のwebサイトのトップページのムービーだけでなく、バナー広告、動画・アニメーションや音楽、電子書籍、学習教材、検定等のシステム、法人向けアプリ、PCゲーム、webそのもの全てなど多岐に渡り、店舗や街頭のディスプレイ等にも使用されました。
 
Flash内のテキストはweb上のテキストのようにコピーができないため、楽曲の歌詞の表示に使われることも多かったようです。
 
私が特に馴染みがあるのは「おもしろFlash」の類。
個人が作成した面白動画やゲームがまとめられた「おもしろFlash倉庫」というようなまとめサイトなどもたくさん出現し、大流行。
みんなそれを見るために、小学校のコンピュータールームは、休み時間になると人で溢れていた思い出があります。
 
それ以前もインターネットを使用してゲームをダウンロードして遊んだり、webサイトを見たり、メールを使ったりもしていましたが、更に「インターネットってこんなに面白いものなんだ」と思いましたし、「個人がそれぞれに情報を発信でき、それをたくさんの人が共有できる場」と分かったことは個人的にはすごく大きな出来事でした。
 
今ではその役割が動画配信サイトやSNSに引き継がれているのですが、YouTubeやニコニコ動画などの動画配信サイトもつい3年ほど前まではFlashを使用したインターフェイスを使用していましたし、娯楽や個人の発表・共有の場としても、Flashはネット社会を支えていた存在と言っても過言ではなかったのです。

2. Flashはなぜ使われなくなったか

もちろん新しい技術が出てきたから廃れたというばかりではなく、Flashが使われなくなっていったのにはきちんと理由があります。
 
Flashはハッカーなどの格好の標的になるほど、セキュリティ面が甘く、あらゆるプラットフォームに対してのセキュリティ攻撃を許してしまっていることや、メモリにとても負荷がかかり動作が重い等の致命的なデメリットがあります。
 
上記のデメリットに加えて、タッチスクリーンに対応していないことから、スマートフォンで対応していないことが当たり前になってきたことが特に大きな2つの原因と言えます。
 
現在、最も利用されているスマートフォンでのWeb閲覧に向かないのは、輪をかけて衰退を呼びました。
特にiPhoneは、スティーブ・ジョブズがFlashを嫌っていたこともあり、一度もFlashに対応していないという事実もあるほど。
 
Flashがモバイル機器に対応することを要求する声は何年もありましたが、実現することはありませんでした。
 
セキュリティを特に重視するコンテンツでは早々にFlashを排除することが求められ、代わりにあらゆるデバイス上で動作し、同様またはそれ以上のパフォーマンスを可能とするHTML5に移行。
Flashはもう「必要ない」とまで言える現在では、多くのブラウザがFlashを自動的にブロックしています。
 
ネット社会では「脱Flash」が必須事項となってきたのです。

Flashがなくなるといったいどうなる?

前項の通り、スマートフォンはFlashに対応していないため、主にスマートフォンを利用している人にとっては特に気にすることではありません。
放置されているサイト・コンテンツでなければ、ほとんどがHTML5などに移行してしまっているでしょう。
 
気付かないうちにほとんど困ることがないほどにFlashはなくなっていたのですね。
 
強いて言えば、今でも大手DMMが配信するブラウザゲームではFlashが利用されているため、ゲーム業界への影響が特に大きく、その他、教育教材や、地方自治体の電子広報誌もまだFlashというケースも見られる程度のようです。

3. まとめ

セキュリティ面は日夜、いたちごっこが延々繰り広げられ、技術開発も競争が続き、どんどん短期間のうちに進化していくインターネット。
 
Flashに限らず、廃れていく技術や新しく普及していくものがこれからもどんどん増えていくことでしょう。
 
古いものから新しいものまで共通して言えることは、正しく理解して正しく扱い、いつまでも同じ技術に固執しないことが重要であると感じました。
 
サポート終了までまだ少し時間はあります。もし、現在もウェブサイトでFlashを使用しているとしたら、この機会にコンテンツの見直しを検討してみてください。

カテゴリー/

ウェブ運用・制作

タグ/
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事を書いた人
Livewire 編集部Livewire 編集部
Web、マーケティングに携わる方々へのインタビューを通して、ビジネスの背景やお考えをご紹介します。今後は、他の分野にも取材先を広げていく予定です!
お問い合わせはこちら

関連記事

TOP