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メディアの注目を集める中華料理店「遊猿」。やり手オーナーに迫る!

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今年の9月、新宿区荒木町にオープンした中華の新星「遊猿(you-en)」。
オープン早々、雑誌にラジオに大忙し。某グルメ派芸能人が来店するなど、注目を集めています。聞けば、いわゆる普通の中華料理店とは違った、なんとも変わった雰囲気のお店なのだとか…四谷三丁目で働く者としては、とても気になります。今回は、「遊猿」開店までの経緯やこだわりのお料理、オーナーの大内誠也さんご本人に迫っていきたいと思います!

新宿通りから車力門通りに入り徒歩1分、新宿通りから荒木町公園に続く路地の突き当りに「遊猿」の看板があります。外階段を上がり2階のお店へ入ると…観葉植物に囲まれたログハウス風の内装になっています。
出迎えてくれたオーナーの大内誠也さんによると、「山が好きで、自分が落ち着ける空間、そしてお客様にも楽しんでもらえる空間を目指しました。」とのこと。ディナーの開店前、仕込み作業の傍ら、お話を伺いました。

オープンまでの経緯


―木の温もりを感じる店内で、とても素敵ですね。独創的な雰囲気の中華料理が食べられるのでは、とワクワクしてきます。中華の道に入られてからは長いのですか?
「22,3歳までは建設関係の仕事に就いていましたが、友人がイタリア料理の修行の為に上京する、と言ったのをきっかけに、自分も東京で中華料理の修行をしようと思うようになりました。」

 

―未経験からのチャレンジ、そして上京となると、勇気がいりますよね~すごい!上京後は、どのように修行されたのですか?
「専門学校に通うのではなく、働きながら修行してしまおうと思いました。修行時代は逆境もあり、料理人をやめようかな~と思うこともありましたが、そんな時にちょうど職場の先輩に紹介されたのが、2件目の修行先“シャンウェイ”でした。」

テレビ東京のドラマ「孤独のグルメ」で知られる鉄板中華シャンウェイですが、厨房に限らず、ホールスタッフとしてとして客席と厨房のリレーションも経験。注文を受けるだけでなく、お勧めなども積極的に提案する、という双方向のコミュニケーションが、大内さんの接客への考えのベースとなっているそうです。
その後、シャンウェイで働くきっかけをくれた先輩が中華料理店ENGINEをオープンさせたので、オープニングスタッフとして手伝った後、いよいよ自身のお店を開くことに。大人の隠れ家的なお店が立ち並ぶ荒木町に、なぜ出店したのでしょうか?その理由が気になります。

勝負の土地に選んだのは、「荒木町」

―荒木町に出店したのは、何か理由があるのでしょうか?
「当初から、土地勘のないところで勝負するのではなく、ある程度知っている場所で勝負しようと思いました。物件探すにあたって、三茶や中目黒にも行きましたが、通勤の通り道だった荒木町は、改めて飲食店・オフィス・住宅があり、良い街だなと思いました。」

 

―開店する上で、客層は意識されましたか?
「店舗の事業計画書にターゲットを記載する必要があったのですが、改めて思ったのは、店がターゲットを選ぶのではなく、ターゲットがお店を選ぶものなのでは?ということです。というのも、何か食べようと思ったとき、食べに行きたい店があれば、おのずとそこに足を運びますよね?お客様が来たいから来るのであって、私達がお客様を選ぶのではないと思っています。フラッと来る店、というよりはうちを目がけて来て欲しいです!」

マーケティングの教科書通りに考えると、開店前に入念にターゲティングをし、それに合わせて立地・物件の広さ、内装などを決めていくイメージがありますが…確かに美味しいお店があれば、足を運ぶものです。
実際に来店するお客様は、会社員・子供連れのご家族・ご近所の方が多いそうです。ランチや夕食はもちろん、接待での来店も少なくなく、幅広い客層と利用シーンがあるとの事です。

シンプルに遊猿では、逆にターゲットを絞らない店舗運営が成功の秘訣なのかもしれません。とはいえ、肝心なのは料理。どんなこだわりがあるのでしょうか?

お料理のこだわりを教えてください!

「毎日、築地に食材を買い付けに行っています。その日その時期の、旬の食材・鮮度の高い食材を使います。自分の中で築地の歩き方があって、アサリはここ、カニはここといったように、良いものを良い店で、一つ一つ自分の目で確認して仕入れます。」

 

―確かに、旬の魚介を使ったメニューがたくさんありますね。メニューにはどんなこだわりがあるのでしょうか?
「シャンウェイのメニューがベースになっていますが、昔からある中華料理の素材を替えて、新しいものにも挑戦しています。」

オーダーさえすれば何でも手に入る築地ですが、その日にどんな食材が入っているのか、旬の移り変わりなど、行ってはじめて分かることも多いとのこと。当初は勝手が分からないことも多かったそうですが、今では行かないと気になってしまうほど、築地での仕入れに魅了されているそうです。種類を限定せず、自分の目で見て仕入れることが、素材の良さを活かしたメニューづくりにつながっているのですね。
と、ここまで来ると、こだわりのお料理をぜひ食べてみたい!というわけで、ディナータイムにお邪魔してきました。これからの季節に楽しめる、旬のメニューと定番メニューをご紹介します。

ディナータイムに潜入!

まずおすすめしたいのは、「前菜6種盛り」。
・酔っ払い海老
・戻りガツオのタタキ香味ソース
・豚肩ロースとカシューナッツの黒酢和え
・和牛イチボの山椒ソース
・ワカサギの青のり山椒
・ホタテの葱生姜和え

6種類の前菜を少しずつ食べられて一人前1500円です。
紹興酒・山椒・パクチーなどの風味が効いた、エスニックな雰囲気も感じるお味。遊猿の雰囲気が一気に楽しめるので、初めて来たお客様も気軽に楽しめる一品です。

 

つづいて「牡蠣の四川煮込み」。
メニューでは穴子の四川煮込みだったのですが、何と牡蠣の季節なので、穴子を牡蠣に替えておつくりしましょうか?と言っていただき、お願いすることに!自家製の香辛醤で煮込まれた牡蠣に、熱したゴマ油の風味と山椒がピリッと効いて後を引く美味しさです。
気になる方は、「オーダーの際に牡蠣で素材替え出来ますか?」と交渉してみましょう!厨房と客席のリレーションで思わぬメニューに出会えるかも知れません。

 

そんな嬉しい隠れメニューでは、「湖南風スペアリブ」もおすすめです。
干しエビ・唐辛子の粉・ニンニク・クミン・パクチーなどを和えた激辛スパイスがどっさりかかった、巨大な肉の山が登場。何ともフォトジェニック!
思いっきりかぶりつくと、激辛のスパイスが喉を直撃。でもこれが、スペアリブの肉汁と合わさって堪らない美味しさに。辛いのにとまらない、病みつきの一品です。
嬉しいことに、何と余ったスパイスはお持ち帰り出来ます。炒め物や炒飯・ラーメン・冷ややっこと何にでも使えるそうです。一品で二度楽しめる、女性が喜びそうなサービスが嬉しいですね。

最後はデザート。
杏仁豆腐に季節のフルーツソース(今回はブドウ)がかかった一品。ソースの酸味と杏仁豆腐の優しい甘さで、ペロリといただきました。ごちそうさまでした!

毎日料理を提供するなかで、シンプルに、お客様がおいしいと言ってくれることが嬉しいという大内さん。中華料理はコース料理にもなり、技法やツール一つとっても奥深い、といった点で、中華料理に携わる前後でイメージががらりと変わったそうです。
全く別の業界から飛び込んだ中華の世界で大内さんが見出した中華の形は、鉄板を使い、香草・薬味を組み合わせた独創的なメニュー。オリジナリティに溢れ、行くたびに新しい発見がありそうです。オープンから半年で、常連のお客様もすでに多くいらっしゃるようですが、今後どのようなお店を目指していくのでしょうか?

目指すのはどんなお店ですか?

「やはり、ちゃんと目指して来てもらえるようなお店にしたいです。ふらっとくるお客さんではなく、遊猿を目指して来てほしい。物件も1階で人通りがある好条件の物件よりも、そうでない物件を選びました。それでも来てもらえるお店でなければ、続けていけないと思いますから。」

遊猿の料理を食べたいと思って来店するお客様に料理を作るのだから、お客様とは対等な関係でありたいと語る大内さん。
「どこまで楽しんでもらえるか、おもてなしができるか。最大限のものを引き出すには、ファーストコンタクトでお客様と近い関係が築けなければ、と思っています。」

 

―お客様がどう感じているのか、知った上で料理を提供したいとのことですが、実際にはどのような接客を心がけていらっしゃるのでしょうか?
「お客様とお話しをして、ホールから厨房へお客様の思いを持ち込めるスタッフを育成していきたい。そして、私たち厨房はお客様から受け取った思いを料理として提供していきたいと思っています。自分が思ったこと、お客様が思ったことに対して正直でありたい。社交辞令でなく正面からお客様とぶつかりたいです。」

お客様・ホール・厨房が一体となり、みんなで作り上げていく雰囲気のあるお店。
良い意味でお客様との距離が近く、あったかいお店だなと感じました。お客様に正面からぶつかっていく真摯な姿勢が、常連を作り上げているのかもしれません。

さいごに

食事どきになると多くのお客様で賑わう遊猿。驚いたのは、これまで広告を一切出したことがないという事です。
噂を聞きつけた某女性向け雑誌から取材を受けたり、某芸能人の来店がきっかけでラジオ出演に繋がったり。シャンウェイ・ENGINE時代のお客様が噂を聞いて訪ねてきてくれる事もあるそうで、大内さんの人脈と人柄で、自然と遊猿の輪が広がっていくようです。

いつもとは少し変わった中華を食べたい、という方はぜひ厨房とのコミュニケーションを楽しみながら、旬のメニューを楽しんでください!

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この記事を書いた人
Livewire 編集部Livewire 編集部
Web、マーケティングに携わる方々へのインタビューを通して、ビジネスの背景やお考えをご紹介します。今後は、他の分野にも取材先を広げていく予定です!
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