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広告も働き方も最適化。 アメリカ発のマーケティングAIカンパニー

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今回は、アメリカから日本に進出したソーシャルマーケティングプラットフォーム会社、アドゴリズミティクス株式会社を取材しました。
 
Facebook広告の最適化を図るツール「Adgo」が話題を呼んでいる同社は、2014年にアメリカで設立されました。同年、日本で支店が設立されたのち、2016年からは株式会社として本格始動しています。「Adgo」の機能をはじめ、会社設立の経緯や日本でのビジネスについて、COOの浜欠氏にお話を伺いました。

1、起業・日本進出の背景

金融業界のルーツ

COOの浜欠氏(左)とCEOのキム氏(右)
 
―会社立上げの経緯をお聞かせください。
 
代表のキムと私は、アメリカの投資銀行で働いていたことから知り合いました。当時からキムは、アルゴリズムやAIを用いた株式取引の効率化を図っていました。実際にトレーダーでもあった彼は、ITテクノロジストとして開発にも関わっていたので、その経験が「Adgo」のベースとなっています。
 
―トレーダーの傍ら、技術開発に関わられたご経験があるとは、興味深いですね。マーケティングツールの分野に進出されるきっかけが何かあったのでしょうか?
 
2008年に金融危機があり、それまで金融業界で仕事をしていた人が別の業界に移っていきました。その際、いわゆるオートメーション系の分野の中で、FacebookやInstagramなどソーシャルメディアの分野はまだ着手されていなかった、という点にキムは注目したようです。また、ソーシャルメディアは人物の属性情報がたくさん得られるので、多量のパターンを検証するために、アルゴリズムが活きるという点も大きかったと思います。

潜在ターゲットが探れるという強み


―ツールの機能と、情報源をぴたりと融合させたのですね。アメリカでの起業から、日本進出に至るには、何かきかっけがあったのですか?
 
キム氏は日本で働いていた経験から、ソーシャル広告のマーケットが日本にあると認識していたので、起業した時点で日本をターゲットにしていました。
 
―日本では、今もソーシャルメディアに特化した広告最適化ツールは少ないようですね。実際にリリースしてからの反響はいかがですか?
 
今まで膨大なパターンのキャンペーンを一つ一つ、人海戦術で検証していたことを考えただけでも、かなり効率的になっていますが、それ以上に、潜在的なターゲットの掘り出しや、ブランディング修正など、何百通りものキャンペーンを行う価値に見合った成果が得られていると思います。売上の良い商材の広告検証においても、企業側の仮説とは異なるデータがあがってくることも多々起きており、新たな戦略にお役立て頂いています。
 
―具体的にはどういったキャンペーン例がありますか?
 
既にブランドが認知されているコンタクトレンズブランドの、フェイスブック広告キャンペーンを行ったのですが、当初は10代、20代のカラーコンタクトを愛用する若年層がターゲットだと想定していました。しかし、何百パターンものキャンペーンから属性を分析すると、40代のスポーツを趣味とする属性にも好反応を得ていると分かったのです。
結果的にコンタクトレンズを使って、ゴルフのスコアを上げたい、という需要だったのですが、仮説に基づいたキャンペーンだけでは知り得なかった潜在層であることから、「Adgo」による検証の成果がよくお分かり頂けると思います。
 
―広告主としては、意外な潜在ターゲット層に驚きますね。
 
そうですね。まずは、そうした機能を知って頂き、ぜひご活用頂きたいです。特にFacebookは属性情報が得られるので、適格な訴求が期待できる点にもご注目頂ければと思います。

2、アメリカと日本のユーザー比較

―アメリカのソーシャルマーケティング市場についてもお聞きしたいのですが、ツール導入や広告配信について、日本との違いがありましたら教えてください。
 
アメリカの場合は広告主が社内にツールと担当者を配備し、キャンペーン運用を自社でおこなう傾向が強いです。理由は、中間取引を排除して、生活者とのコミュニケーションを直接把握する方が、効率的とされて好まれるからです。一方、日本は広告代理店に任せることが慣例化しているので、自社で広告運用する企業は少ない傾向が強いですね。
 
というのも、アメリカでは個人商店レベルの規模でも、自分でFacebook広告を運用していることが少なくなく、事業規模に関わらず、同じツールを使っていることも珍しくありません。自社運用には、中間コストを省く以外にもメリットはたくさんあるからだと思います。例えば、世界的な規模のブランドが、キャンペーンを全世界で同時に行う場合にも、やはり自社で横断分析した方が、データの比較においても効率的です。特にタイアップ広告など、複雑なキャンペーンを運用すると細かなデータまで得られますから、自社のブランド戦略に後々活かせること自体が財産になると思います。
 
―実際に、運用者にはどのようなレベルが求められますか?
 
「Adgo」は既存のソーシャル広告を最適化するツールなので、まず、ソーシャル広告の運用経験が必要になります。アメリカでは、小規模ビジネスにおいても広告運用の経験がある人材がいますが、日本では細かな動きの出来る広告代理店が、主要なユーザーです。横断分析後、次のキャンペーンのプラン立てまで、時短で運用することが成果を得るカギとなるので、経験豊富なデジタル広告の代理店でお試し頂くと良いと思います。
 
もっとも、現段階では、ソーシャル広告を利用したソーシャルマーケティングの認知が必要なので、セミナーやサポート態勢も充実化させています。

3、スピード感のあるオフィス

少数精鋭・国際色豊かな人員構成


―日本市場への参入には労力が要されると思いますが、今は何名態勢で業務をおこなっているのですか?
 
システム・プログラミング担当の開発系に5名、サポートなど供給とのリレーションをおこなう商材担当に2名、マーケティング担当に3名を充てた、10名のスタッフがいます。
少人数なので、お客様からのフィードバックをソフトウェアの改善に取り入れるまでが速いという利点があります。場合によっては、2週間ほどで仕上げるので、日本独特のご要望もかなり取り入れています。
 
―少人数とはいえ、かなりスピード感がありますね。国際色も豊かなメンバーとお見受けしましたが、コミュニケーションにおいては、何か工夫をされているのですか?

開発スピードの秘密は


アメリカの他、オランダ、アイルランド、カナダ、イギリス、日本からなるメンバーなのですが、英語で会話しながら、ビジネス用チャット「Slack(スラック)」を使ってアイディアを共有しています。
 
スラックを使うポイントは、ある議題が出た際に、考えの深さが揃っていなくても、あとで思いついたことを追加できる、という点にあります。会議室に集まって皆で決める、というプロセス重視の企業もあるかと思いますが、いかに良い結果を生み出すか、という点を当社では重視しています。少人数でそれぞれが常に違った仕事をしている点でも、時間の縛りなく、個人のタイミングでアイディアや進捗を話せることは非常に便利です。
 
―成果に向かったコミュニケーションが実現化されているのですね。
 
そうですね。モチベーションも非常に高く、週末や終業後にメッセージが来ることも珍しくありません。開発結果がすぐに見えて、クライアントの反応も分かる点がポイントだと思いますが、企業としてもスタートアップ時期なので、ひとりひとりの持ち場に対する責任感が強いことがあらわれていると思います。
 
―今後、どのようなビジネスの展開を予定されていますか?
 
日本を拠点として、アジア圏へ拡大していこうと考えています。その為には、国際的な感覚をもった優秀な人材が必要になります。アジア全体に照準を合わせると、マーケットの可能性は計り知れないので、興味のある方にはぜひ挑戦して頂きたいです。
 
マーケティング以外にも、AIが可能性を広げ、驚くような結果を生んでいる分野は多くある分、ツールとユーザーをつなぐ開発スピードは、非常に重要でしょう。Facebook広告は配信エリアの大小も問わないので、企業規模を問わず、今以上に日本でも浸透していくのではないかと思いました。何か新しいリリースなどありましたら、ぜひ今後もご紹介させて頂きたいと思います。今日はありがとうございました。

4、取材を終えて

マーケティング課題の中でも、潜在ターゲット層を探る取組みには、従来かなりの労力が要されていたと思います。その課題に対し、画期的なツールを生んだ同社の強みは、2008年の金融危機の際、株式取引の効率化から広告配信の最適化へ進出したこと、そのセンスが息づいた柔軟でスピード感のある開発現場にあると感じました。
日本の市場は飽和状態であるとも言われますが、潜在ターゲット層を探ることで、新たな可能性が見つかるかも知れません。ソーシャル広告は、起業規模を問わず試す価値のある分野だと改めて痛感しました。
 

アドゴリズミティクス株式会社

ソーシャルメディア広告のパフォーマンスを最適化させるプラットフォームの開発・提供を手掛けています。複雑なソーシャルメディア広告のチカラを誰もが最大限発揮出来るよう、日本で開発を行っています。
AIプログラムが、何百万ものパターン化した広告クリエイティブ、オーディエンスセグメント、カスタマージャーニーのコンビネーションをテストすることで、人間のプロフェッショナルが何人集まっても追いつけないような、優れたデータ解析、マーケティング最適化を行います。

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この記事を書いた人
Livewire 編集部Livewire 編集部
Web、マーケティングに携わる方々へのインタビューを通して、ビジネスの背景やお考えをご紹介します。今後は、他の分野にも取材先を広げていく予定です!
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