1粒のキャンディーに秘められたパパブブレのおいしい魔法

日々、新しいトレンドが生まれては消えるスウィーツ。メディア、口コミサイト、SNSなど、いつもどこかで“甘くておいしいなにか”が話題になっています。
その中でも、「ロックキャンディー」というちょっと珍しい商品展開でオープン以来絶えず人気を保ち、新しいファンを獲得し続けている『パパブブレ』を、皆さんご存知でしょうか?
見てるだけでもかわいくて、口に入れたらほろほろ溶ける、そんなキャンディーを知っている人も多いはず。今回はその人気の秘密を、広報担当の小井土さんに聞いてきました。
1、世界的にも唯一のブランドバリュー
パパブブレってスペイン発祥なんですよね?
2002年にバルセロナの地で、オーストラリア人のトミーとアメリカ人のクリスの二人がパパブブレを始めました。二人がスペイン・バルセロナの街並み、雰囲気が気に入って、ここで出店しようと決めたんです。
どうして日本で立ち上げることになったんですか?
日本のオーナー菅野清和が、スペイン語学校で二人と出会ったことがきっかけです。その時二人はすでにお店を始めてて、「お店を見に来ない?」と誘われて、そこで飴作りを見て感銘を受けて。そこから2年間修行受けて、2005年に中野の第一号店を日本でオープンさせました。
そもそもどんなブランドコンセプトなんですか?
パパブブレが作っている飴のことをロックキャンディーと言います。欧米ではロックキャンディーは定番のお菓子なのですが、「作る工程をパフォーマンスとして見せる」のはうちが初めて。
日本の昔ながらのお店だと、飴に空気を入れる作業を見せるところはありますが、一連の流れを全て見せるのはパパブブレが初めてです。
この「パフォーマンスとして見せる」というのがブランドコンセプトになっています。
2、ユニークな立地選定もブランディングのひとつ
1号店の出店はなんで中野だったんですか?
実はバルセロナのお店も市内の中心地ではなく、探さないと見つからないような、ちょっと外れたところにあるんです。
日本でも、スペインと同じようにちょっと外れたところ。青山や表参道のようなか分かりやすいところではなく、近くの人が「何だここ?」と見つけて感動する場所。そんな場所に出したいと思い、あえて中心地から外しました。あとはやっぱり雰囲気ですね。都内ですが、“ちゃんと地元の人の暮らしがある”というのがスペインの本店と似ていたんです。
お客様の反応ってどうでした?
暮らしに根付いた場所らしく、小学生が学校帰りに覗いていくこともありますし、ご年配の方々が気軽に寄ってくださることもあります。パパブブレ自体は現在11店舗を展開しているので、出店する場所によって客層は違ってきますが、コア層は30〜40代の女性ですね。
ただそこに絞っているわけではなく、基本的には、ファッションなどを常に新しく取り入れたいと思ってるような、トレンドにアンテナを張ってる方が、「パパブブレって面白いことしてるよね」とワクワクしながらウォッチしてもらえるお店にしたいと思っています。
3、飴作り、そして商品展開に込められた想い
商品ってここで作ってるんですよね?
そうです、全て店頭で作っています。工場はありません。そのため1日に作られる量は限られています。1回の工程で1時間〜1時間半。それを6回か7回くらい、多くても10回が限界ですね。定番商品のフルーツミックスには15種類あるので、全部作ろうと思えばそれだけで最低2日はかかるんです。
定番商品、どんなのがあるんですか?
15種類のフルーツ味が入った「フルーツミックス」、ハートが入った「ラブミックス」。四つ葉のクローバーなどが入った「サンキューミックス」、イチゴのショートケーキやHAPPY BIRTHDAYの文字が入った「ハッピーバースデーミックス」、ローズ、ラベンダー、ミント、ユーカリなどの「ハーブミックス」の四つ。できるだけ絵柄が細かくなりすぎないように、シンプルで可愛く、かっこいい。分かりやすいのを大切にしています。
飴作りって、やっぱり難しいですよね?
飴を作るには、その日の温度、湿度が大切なんです。まずはベースとなる飴を160度の鍋で煮立てるのですが、その日の天候に合わせて鍋から飴をあげる温度を変えるんです。何度になった時に飴を台に流し込むのか、飴のコンディションを見ていく。それは職人の勘と経験によるものです。
その後、3~4キロもある飴を練って、フックに引っ掛けて何度も伸ばし、空気を入れる作業があります。実はここが大切なポイント。この工程が食感の決め手になるんです。ほろほろと口の中で溶けてゆく、そんな食感がパパブブレのキャンディーの特徴ですが、最後に固くなった飴を細く伸ばしていく時に、キラキラと宝石のようなツヤが出るんです。パパブブレの飴は、絵柄はもちろんですが、「口どけ」と「ツヤ」も魅力です。
4、お客様の感動体験がブランドの拡散力
日本独自の商品展開ってあるんですか?
実は結構あるんです。日本だけ「世界一おもしろいお菓子屋さん」をビジョンに掲げていて、日本オリジナルの商品もたくさんあります。海外のパパブブレはキャンディーとグミだけなのですが、日本ではマシュマロやチョコレート、キャラメルも展開しています。私たちはただ飴を売るだけではなく、世界のお菓子をパパブブレを通して人々に発信して行きたい。決して「スペインをそのまま持ってきた」ではないんです。
プロモーションで取り組んでることってありますか?
「店舗にお越しくださったお客様を楽しませる」ことを一番大事にしています。お客様は皆、飴が作られるのを目にするのはここが初めて。ドロドロに熱した状態の飴を職人が練る姿にすごく感動されるんです。そこに感動があると、お客様がお客様を連れて来てくださいます。「面白いところがあるから行ってみようよ」と。
ですのでこれまで広告は一切してきませんでした。もちろんメディアの取材依頼には対応してきましたが、ニュースリリースを出し始めたのも実はここ1、2年くらい。それまではFacebookでの情報発信しかやって来なかったのが実情です。
バレンタインには新商品を出すんですか?
パパブブレでは、キャンディーの中にチョコが入った商品が大人気。私たちはこれパパブブレのスペシャリティだと思っていて、常連さんだとこのチョコミントキャンディーを買う方が多いですね。これはチョコとキャンディーをミルフィーユ状に織り込んで作るものなのですが、バレンタイン月になるとオレンジチョコやバナナチョコなど、いろんなフレーバーが出てきます。
高級チョコのように頑張って買わなくていいですし、キャンディーとチョコという新鮮な組み合わせもあるので、お友達同士や会社の方など気軽に配れて、反応もいいという声をよく聞きますね。
ホワイトデーにも新商品を出すんですか?
ホワイトデーではいろんな顔の表情の絵柄が入ったロックキャンディーを出します。もらった人のいろんな感情を「嬉しい」「目がハート」「喜んで泣いてる」など、かわいく表現しています。
ちなみに去年のコンセプトは、「王子様が私たちのかわりに上げるよ」というもので、ゴールデンミックスを作りました。今年も楽しみにしてほしいですね。
今後の商品展開や店舗展開などのビジョンはありますか?
やっぱり商品には、お客様が広めたくなるようなおもしろさを入れたいです。シーズンものでは、「クリスマスツリーの絵柄を透かすとオーナメントが見える」とか大好評で、お客様が食べる前に透かしてくだいます。食べる前にもワクワクできて、食べてもおいしい。そんな遊び心を職人と一緒に発信して行きたいです。
店舗展開に関しては、お客様からも「ここに出店してほしい!」というご要望はあるんです。できるだけそうした声に応えていきたいのですが、やっぱり手作りの商品なので。職人が育つことで初めて店舗展開も可能になります。
1人前の職人になるには2〜3年はかかります。「いい職人がいて、いい商品がある」。それがあってこそのパパブブレなので、バランスを見ながら展開していきたいですね。
5、最後に
今回お話を聞いた中野店は日本出店の第1号店。平日の午前中に伺ったにも関わらず、昔ながらの商店街の一角でお客様がひっきりなしに来ては商品を買っていたのが印象的だった。
取材では、プロモーションを一切して来なかったというお話はかなりの驚きだった。「どれだけ予算を使って、どんな戦略で広告を打つか」。そうしたプロモーションとは
一線を画した展開ができるのも、「パパブブレ」ブランドに求心力があるからこそ。
飴作りのパフォーマンス、そして一つ一つの飴に込められたさりげない遊び心とこだわり、そのどれもがパパブブレの唯一無二のブランドを作り上げているのだと感じた。
編集部追記
パパブブレでは、オーダーメイドでも飴をつくってくれます。当社でも、社のロゴ入りでオーダーさせていただきました!フレーバーや色の指定が可能で、数や納期の相談にものってくれます。個人でも、お礼やご挨拶用にオーダーすると、ユニークで印象に残りやすいかもしれませんね。ぜひ、おススメです。

株式会社PAPABUBBLE JAPAN(パパブブレ ジャパン)
スペインはバルセロナ発祥のキャンディ・ショップ。伝統のアメ細工の技術を用いるだけではなく、お客様を楽しませるパフォーマンスを取り入れた、いままでにないアート・キャンディ・ショップでいまや全世界で展開されています。
店舗情報などはコチラから