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代官山スタジオと働き方改革 ~若手アシスタントの日々~

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今年30周年を迎え、大手企業のCMやファッション誌面などの撮影が日々行われる代官山スタジオ。働き方改革が叫ばれる昨今、クリエイティブな現場に身を置くスタッフの方々は日頃どのように働かれているのでしょうか?

今回は、カメラマンの卵として日々プロカメラマンのアシスタント業務をされている川村康平さんにお話を伺いました。川村さんは「第64回日本映像スタジオ協会 スタッフフォトコンテスト」で最も名誉ある会長賞を受賞した、代官山スタジオを代表する若手アシスタントです。

アシスタントとしての働き方

―普段はどのような仕事をされているのですか?
カメラマンがスタジオに訪れた際の対応・レンタル機材のチェック・機材の組み立てから、荷物持ちなどのプロカメラマンのサポートをしています。
アシスタント業務には「スタジオアシスタント」と「ロケアシスタント」がありますが、私はロケアシスタントとして動くことが多いです。
ロケでは、現場に行ってはじめてその日の撮影内容を聞かされるので、タイムスケジュールを確認したり、動きを確認したり、ただ指示を待つのではなく現場を作り上げる為に、自分で仕事を探して動くようにしています。ロケに出ると1日30時間の撮影なんて事もありましたから、体が慣れるまでは苦労しましたね。

 

幅広い業務に対応していくスキル・体力が必要なのですね。ロケに行き、その場で指示を出されても、求められた仕事をそつなくこなす事が出来るのは、センスに加え見えないところでの日々の鍛錬の成果かもしれません。
また指示待ちの姿勢ではなく、自ら現場を作り上げていく姿勢というのは、代官山スタジオの育成方法に秘密があるのかも!掘り下げてわが社でも活かしたいですね。

 

―それにしても、過酷なお仕事です…普通の会社員が8時間勤務だと考えると、22時間の残業ということですよね。固定の勤務時間はないのでしょうか?
基本は9時~18時が勤務時間です。
ロケでも、「今日は8時から23時までの撮影」といったようにタイムスケジュールが決まっています。ただ、撮影が押すこともありますからね。この業界では、勤務時間が不規則なのは当たり前の事です。

 

ロケのタイムスケジュールがすでに残業ありきになっていますが…これも、当たり前という事なのですね。撮影の知識・技術だけでなく体力・熱意がないと続けていけないお仕事です。
過酷な勤務に対応するアシスタントの方々ですが、「簡易宿泊設備」や「社員寮」の完備、「超過勤務手当」の支給など、代官山スタジオではそれに対応する制度が整っています。

 

―限られた時間の中で撮影がスムーズに進むよう、アシスタントとして気を付けている事はありますか?
カメラマン一人一人に合わせ、その方が「やりやすいように動く事」を常に意識しています。特に最初の会話を大切にしていて、その方がどんな方なのか、その人の癖や、やり方を見るようにしています。
私は、「ただ言われたことをやればいいや」ではなく「自分がそこで仕事した意味」を見出したいと思っています。カメラマンが自信をもって仕事できるように、撮影が良い方向に向かっていくように、思ったことは率直に意見するようにしています。

 

―カメラマンとアシスタントの相性ってあるんでしょうか
ありますね。カメラマンって、良い意味で個性的な方が多いんですよ。
「いろんなアシスタントを試して、自分に合ったアシスタントと仕事する方」など。最初の頃は思っているように動けずに怒られたこともあります。でも、怒られるのはカメラマンの要望を満たせなかったアシスタントの責任でもあります。私達はアシスタント内で情報共有し、日頃からスムーズな撮影ができるよう努めています。

 

カメラマンの世界には、カメラ一つで生きていく。みたいな少し孤独なイメージがありました。
でも、アシスタントとして働くというのは、思ったよりも人間臭い仕事なんですね。そして想像以上に人とのコミュニケーションスキルが必要とされる現場なのですね。

プロカメラマンを目指すうえで、まずはアシスタントとして現場経験を積むことを選んだ川村さん。写真に目覚めたきっかけは何だったのでしょうか?

写真との出会い

―川村さんがカメラマンを目指したきっかけは何ですか?
カメラマンを目指そうと決意したのは、中学1年生の時です。中村征夫さんの水中写真と出会い感銘を受け、展示を見終わった頃には写真家になろうと決めていました。

 

―いつ写真の世界へ?
サッカーが好きだったので高校進学を選び、サッカーを思う存分やりました。その後、地元の北海道にある専門学校に通い、卒業後代官山スタジオに入社しました。

 

北海道を出て、東京に拠点を置く代官山スタジオへの入社を決めた川村さん。代官山スタジオのアシスタントとして働こうと思った理由は何だったのでしょうか?

代官山スタジオの門をたたく

―専門学校卒業後は、なぜ代官山スタジオに入社を決めたのですか
代官山スタジオに決めた理由は、卒業までの区切りがあり、自分なりに気持ちを整理して次のステップへ踏み出せるかなと思ったからです。スタジオ撮影に限らずロケができるのも魅力でした。

 

―卒業までの区切りとは?
代官山スタジオでは、アシスタントは2年3か月で満期となっています。限られた時間の中で撮影に関するノウハウを学び、卒業後はフリーランスとして活動したりプロカメラマンに弟子入りしたり、それぞれの道を歩みます。

 

業界でもアシスタント育成に定評のある代官山スタジオでは、写真撮影の「知識」「技術」「社会的マナー」を身に着けるための独自の研修カリキュラムが設けられています。
そんな環境に惹かれて入社した若手アシスタントは現在40名ほど。夢の実現に向けて努力しているそうです。

 

―代官山スタジオで働く中、どんな時にやりがいを感じますか?
「自分がそこで仕事した意味」を見出せた時に、やりがいを感じます。
大勢のアシスタントの中の一人ではなく名前で呼んでもらえた時とか、自分の意見を伝えて撮影がスムーズに進んだ時とか。良い作品が出来た時は、チームの一員として喜びを感じます。

 

素晴らしい作品が生み出せた時の喜びや達成感は、現場にいる人達にしか味わえない特権ですね。
日々アシスタント業務に追われる川村さんですが、元々はプロカメラマンを目指しての就職。多忙な日々の中で、自身がカメラを構えることはあるのでしょうか。

プロカメラマンへの道のり

―自分の写真を撮る時間はあるのですか?
仕事後や休日を利用して自分の作品撮りをしています。仕事後、真夜中に皆で集まって朝まで作品撮り…というのもよくありますね。休日も作品を撮ったり、次回作の打ち合わせをしたりしています。食事をするのと同じように日常の中に写真があるので、もう撮らなきゃいられないって感じです。
また、代官山スタジオには私達が作品撮りを出来るよう支援する制度があって、仕事後スタジオや機材のレンタルが出来ます。卒業生もその制度を利用できるのですが、「スタジオ」「機材」「アシスタント」すべて揃えて朝から夜まで撮影しても、レンタル代は1万円程です。普通に借りようと思ったら、20万円〜30万円はしますからね。スタッフ想いのスタジオです。

 

撮影技術を磨きたくても、その資金も環境もない若きカメラマンの卵にとっては、この制度はとても魅力的ですね。

 

―プロカメラマンを目指すうえで日頃努力していることはありますか?
そうですね、日頃からライブやダンスショーを見に行ったり、人に会いに行ったり。多くの刺激を受けて、アイディアの引き出しを増やすようにしています。

 

素晴らしいバイタリティですね。
仕事も休日もカメラに捧げ、寝る間も惜しんで努力する川村さんですが、「プロ」として成功する人には、共通してそういう貪欲さがある気がします。

 

―代官山スタジオを卒業後は、晴れてプロデビューされるのですか?
いいえ。私の場合、師匠に弟子入りする事が決まっています。
ロケで出会った方なのですが、アシスタントへ来ないかとお申し出いただき、受けることにしました。カメラマンとして初めて魅了され、圧倒され、心を持っていかれた人物で、周りのスタッフも頼りがいのある方々なので、その環境で経験を積んでいきたいと思っています。

 

―将来はどんなカメラマンになりたいですか?また、どんな写真を撮っていきたいですか?
人が好きなので、世界中の人達と出会って、その先に写真があればいいなと思っています。
写真を撮っている人も、撮られている人も、もちろん見た人も、皆が「楽しい」と思える写真を撮っていきたいです。
見た人が「良い写真」だなと思っても、被写体になった人が楽しくなかったら、それは「良い写真」とは言えないと思うんです。自己満足で終わる写真ではなく、誰かのための写真が撮りたい。将来的には、広告写真を撮りたいと思っています。

 

被写体の気持ちを想い、そこにカメラを向ける。川村さんにとって、写真はコミュニケーションの一つなんですね。人が好きで、人から学ぶものも多いと語る川村さんですが、そんな川村さんの周りには自然と人が集い、写真家としてのチャンスやアイディアに繋がっているのでしょう。

さいごに

―代官山スタジオのアピールポイントを教えてください!
「何よりもお客様を想って動け」が代官山スタジオのポリシーです。
お客様に満足して帰っていただけるよう、私たちアシスタントが全力でおもてなしさせていただきます! また、代官山駅から徒歩5分の立地も魅力です。

 

広告出稿やサイト作成で写真撮りを発注したいとお考えの方は、是非、代官山スタジオのご利用をご検討ください!

 

 

厳しいカメラマンの世界では、相当な努力をしても、「プロ」として生活していけるのはほんのわずか。そのわずかな光を目指し、日々努力を惜しまない川村さんの姿勢とバイタリティに感銘を受けました。またそんなバイタリティを支える代官山スタジオのような存在が、「プロカメラマン」の誕生には必要不可欠なのだと感じました。

 

プレミアムフライデーの施行など、様々な「働き方改革」がなされている現在。
クリエイティブの世界に身を置く方々には、今後どう反映されていくのでしょうか。その施策は本当に必要とされているものなのか、幅広い業界に対応するものなのか、今後注目していきたいと思います。

代官山スタジオ(株式会社ユーアール)

スチールはもちろん、デジタル・動画撮影のカテゴリも牽引してきた撮影スタジオです。都内に系列スタジオが5か所あり、機材レンタルのほか、ハウススタジオやキッチンスタジオでの撮影も可能です。今年30周年を迎え、大手企業のCMやファッション誌面などの撮影現場を日々支えています。

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この記事を書いた人
Livewire 編集部Livewire 編集部
Web、マーケティングに携わる方々へのインタビューを通して、ビジネスの背景やお考えをご紹介します。今後は、他の分野にも取材先を広げていく予定です!
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