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日本酒好きが集まるマニアな街、東京都四谷で確固たる地位。常連が集まり、宴会も耐えないその人気と戦略とは

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山形牛すき焼き「希の華」

東京都新宿区四谷といえば、しんみち通りや荒木町といった知る人ぞ知る飲み屋街。しかし今回ご紹介する創作和食『希の華』は、そんなエリアから新宿通りを挟んだ反対側に位置した閑静な場所にあります。

「希の華」日本酒好きが集まるマニアな街、東京都四ツ谷で確固たる地位。

店名『希の華』の由来「お客様の希望の華が咲きますように」との事

見渡すと帰宅を急ぐサラリーマン、新宿通りからは看板も少し見つけにくいという立地にも関わらず、常連客が足しげく通い、宴会予約も耐えないという人気店。そこに隠されたワケを店主に取材させていただきました。

決め手はお客様の顔が見える店の形

―まず、四谷という場所、そしてこの立地にお店を出されたのはなぜですか?

「独立するにはどこがいいかを考えながら約1年間物件選びに費やしました。18歳の時に地元沖縄を離れて上京し、その後八王子・青山・新宿・麻布・赤坂で経験を積んだのですが、正直に言うと、最初は独立する場所として四谷を全然視野に入れていなくて、内見時にはじめて訪れたくらいです。ただこの店の形が気に入って。なかなかこういう造りってないんですよ、長方形に近い正方形というか。料理場から全部のテーブルに目が届くのもいいし、あとはじめお店は柱だけ建っていて形だけある状態で、これはお金がかかるなとは思ったんですけど、自分で作り込みができる点も気に入ったポイントです。」

竹をモチーフが所々散りばめられていて、そこは和食を扱っているからこそのこだわり。また、外観はガラス張りでオープンな造りであるものの、プライベート空間はきちんと保たれていて店内も落ち着いた雰囲気です。かといって敷居は高いわけでなく、宴会や女子会、接待など、いろんなシチュエーションで利用できるお店です。

日本酒好きが集まる街「四谷」。料理は旬なものをシンプルに

ー 実際お店を出されてみて、四谷はどういう場所ですか?

「今年の7月で4年を迎えますが、落ち着いた雰囲気の街ですね。日本酒好きが多い街でもあるので、店ではグランドメニュー7種、季節限定のものは大体15種ほど辛口中心にそろえています。客層も30代から50代が中心ですね。

メニューも客層に好まれるように素材の旨味を引き出しつつ、あまりひねり過ぎないメニューづくりを心がけています。変化に飛んだ料理はまず注文が入りません。食べてもらえなければ意味がないので、オリジナリティは残しながらも旬なものをシンプルに出すようにしています。」

山形牛すき焼き「希の華」

食材は産地直送。卵は千葉、こんにゃくは広島、味噌は新潟から仕入れているそう。また、もずくは門前仲町の小料理店で運命的な出会いを果たし、何度か通って取り寄せしている所を教えてもらったそうです。盛り付けは料理や食材によって色鮮やかに見せたり、シンプルに素材をいかしたり。また、フレッシュ野菜を使っている時などはその新鮮さをいかにして見せるかなど、店主ならではのこだわりが伝わってきます。

確かに四谷というと新宿の繁華街に近いにもかかわらず古い町並みが残っていて、どこか落ち着いた渋めの雰囲気が漂う街です。この街で受け入れられるお店の特徴として、料理やお酒の見た目や名前の響きの真新しさは特に重要ではなく、またこれを食べたい(飲みたい)と思わせる1品があるかどうかにあるのだと思います。

集客方法はネットのみ。年末最も大きな効果があった媒体はホットペッパーグルメ

ー 集客方法についてお話を聞かせてください。

「やっぱりインターネットを使った集客ですね。年末はホットペッパーからが多かったんですけど、2018年に入ってからは食べログが伸びてきていますね。これはなんとなくCM効果だったり各媒体のキャンペーン内容によって違うんだろうなって思っています。あと宴会などの団体客はぐるなび、少人数での予約は食べログが多いです。」

確かにホットペッパーグルメでは年末、ネット予約をした人に最大6,000円分のポイントがバックするキャンペーンを実施。同時にCMもして大きな反響がありました。

ホットペッパーグルメの特徴として即予約(サイト上で予約完了した時点で予約が確定する)が可能なことと、ネット予約利用可能店舗数の多さ(2017年8月時点で46,000店舗)が挙げられます。ネット予約ができるようになると、ユーザーにとっては空いた時間を上手く活用することができ、同時に電話での予約とは違ってポイントも溜められるため支持が高いです。また、店側にとっては忙しい時間をさけて効率よく集客することができます。

ー 簡単に予約ができるようになると、その分無断キャンセルも懸念されませんか?

「連絡無しのキャンセルだったり、予約時間が過ぎ連絡がつながったとしても、急用で行けなくなったと簡単に言われてしまったりということは、料理を用意していたとしてもごくたまにあります。でもネット予約なのか、電話予約なのか、は関係ないですね。」

飲食店では前払いではないため、かなりの時間と労力をかけたとしてもキャンセル料はいただけないのが普通です。それを分かった上でなのか、そもそも罪の意識がないのか、寸前でのキャンセルや無断キャンセルは後を絶ちません。この問題は度々ネットでも話題になりますが、ほとんどの場合お店はお客様のモラルに委ねなければなりません。

ホットペッパーグルメのネット予約だと予約変更締切日というものが設けられていて、締切日の前であれば簡単に予約変更が可能です。お店の開店時間に関わらずお店に連絡できるということは、少なくとも連絡がつながらずキャンセルし忘れていたということが防げるので、キャンセル面においてもネット予約の手軽さはメリットのほうが多そうです。

今以上に品質アップを目指し、新店舗にもチャレンジしていきたい

ー 今後の目標についてお話を聞かせてください。

「1番は常連さんを今以上に増やすことですね。これまでずっと料理は自分1人でやってきたのですが、最近信頼できる後輩が入ってきたということもあって、サービス面含めた品質の向上に一層力をいれていきたいと思っています。あと実はもう1つ、ここのお店の基盤をしっかり固めてから違う業態にもチャレンジしたいと思っています。独立した以上、1つの店舗では終わりたくないと思っているんで。そしてここに来たからにはぜひ行きたい!と向かってきてもらえるような、専門性に特化した形で店展開をしていきたいと思っています。今考えているのは、しんみち通りあたりで小料理の美味しい日本酒BARです。」

取材させていただいた「希の華」店主 桃原徹也さん

取材させていただいた店主 桃原徹也さん 額縁の文字と詩(「希望ある人生だからこそ歩むこの道は煌めき華やいで」)はお店を始める際、「希の華」の字から連想する言葉を路上詩人の方に書いてもらったそうです。

さいごに

実はPrmaCeedも『希の華』常連の一人。2017年末の当社の納会も『希の華』で行いました。普段は17時開店のところ特別に13時にお店を開けていただきました。その際も「さすがに数名だったら厳しいんですけど、宴会であればご相談ください!」と温かい言葉をいただきました。たまにそういう理由で定休日の日曜日もお店を開けてくれるそうです。

インタビューでは食材へのこだわりからメニュー作りにかける想いなど改めて聞くことができ、早速また食べに行きたくなりました。私自身、今までたくさん『希の華』のお料理を食べてきましたが、毎回その時の旬を感じられるので、いつも新鮮な気持ちでお料理を楽しんでいます。もちろん毎回頼むテッパンメニューもあるのでそれを目当てに近日中お邪魔したいと思います。

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この記事を書いた人
Livewire 編集部Livewire 編集部
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